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よくある質問
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認知症の人は遺言をすることができますか?
遺言は、遺言者が生涯をかけて築いたり、先祖から引き継いで守ってきた財産を、最も有効・有意義に活用してもらうために行う、遺言者の意思表示ですから、遺言をするときに、遺言の内容を理解し、その結果を認識することができる意思能力があることが必要です(民法963条)。意思能力のない者の作成した遺言は無効です。15歳以上の者は、遺言することができます(民法961条)。高齢者、認知症の疑いのある人、自署できない人、病院・自宅に出張する人などは、原則として医者の証明が必要です。なお、認知症の方については、事理を弁識する能力を一時回復した時に、証人2人のほかに、医師2名の立会いにより、遺言書を作成することができます(973条)。  

私たち夫婦には子どもがいません。夫が死亡した場合,妻は,夫名義の貯金を下ろすのに夫の兄弟姉妹の同意書と印鑑証明書が必要と聞きましたが本当ですか?
夫(両親は他界)が遺言をしていなければ,妻(相続分4分の3)と亡夫の兄弟姉妹(相続分4分の1)が相続人になります。妻は,夫名義の財産については,実質的に夫婦共有であったとしても,亡夫の兄弟姉妹全員と遺産分割の協議を経なければ,預貯金の払戻しや不動産の相続登記をすることはできません。これに対して,夫が,「妻へ全財産を相続させる。」旨の遺言をしておけば、妻は,夫の相続開始と同時に,夫の全財産を相続することになりますので,夫の兄弟姉妹全員と遺産分割の協議をする必要はありません。
なお,兄弟姉妹には遺留分もありません。

遺言が必要なのはどのような場合ですか?
遺言をすることが特に必要な場合としては、次のような場合が考えられます。
①夫婦の間に子供がいない場合
子も親もいない夫(又は妻)が死亡した場合、遺言がないと、兄弟姉妹全員の同意書や印鑑証明書が必要になります。
②息子の妻や娘の夫に財産を遺したい場合
息子の妻や娘の夫は相続人ではないので、老後の介護などでお世話になっているためこれらの者に財産を遺したいのであれば遺言をする必要があります。
③再婚の場合
再婚しても前の妻(前妻)との間の子も相続権があります。再婚した妻(後妻)は、夫の相続について、後妻との間の子のほか前妻との間の子全員の同意書や印鑑証明書が必要になります。相続を巡って争いが起こりそうな場合は、遺言によって明確にしておく必要があります。
④事実上の婚姻(内縁)関係の場合
長年同居し、実質的な夫婦であっても、法律上の婚姻関係がなければ、相続人とはなりません。事実上の夫婦が相手に財産を遺したければ遺言する必要があります。
⑤オーナー会社の経営者の場合
自分が築いた会社を経営能力ある者に継がせたい場合、遺言で、自己の所有する株式をその者に承継させる旨を明確にしておくことが必要です。
⑥子供達の仲が良くない場合
死後に子供達の相続争いが予想される場合は、遺言で、遺言者の気持ちを明確に示しておくことが必要です。
⑦相続人がいない場合
相続人がいない場合は、相続財産は、最終的に国に帰属することになりますので、生前にお世話になった人に遺産を遺したいのであれば、遺言をしておく必要があります。

遺言者が印鑑登録をしていない場合は、どうしたらよいですか?
印鑑登録をした上で、印鑑証明書の交付を受けてください。なお、運転免許証など顔写真付きの官公署発行の証明書でも差し支えありません。パスポート、健康保険証は、本人確認資料にはなりません。

病気のため公証人役場に行けません。自宅や病院で遺言公正証書を作成できますか?
病気などのため公証人役場まで行くことができない場合は、公証人が自宅又は病院まで出張して遺言書を作成することができます。この場合は、原則として医者の証明が必要です。また、手数料が割増しとなるほか、日当、交通費が加算されます。

適当な証人が見当たりません。公正証書遺言を作成できませんか?
公証人役場にご相談ください。

貯金やお金はこれからも使うので、不動産のみの遺言は可能ですか?
財産の一部のみを対象とする遺言をすることは可能です。しかし、遺言をした後であっても、遺言者は貯金などを自由に使うことができますし、相続開始後に、遺言の対象とされなかった遺産の相続を巡って、不動産を相続した者と相続しなかった者との間で争いになることがあります。遺産争いを少しでも防ぐためには、すべての財産を対象とする遺言が望ましいといえます。

遺言する場合に提出する戸籍謄本は、相続の登記をする場合と同様、遺言者の生まれてから現在までのすべての戸籍謄本及び改製原戸籍謄本が必要ですか?
相続させる旨の遺言書を作成する場合に、戸籍謄本の提出を求める趣旨は、遺言者と受遺者との相続関係を確認するためです。子に相続させる場合は、親子が一緒に記載されている戸籍謄本(戸籍簿のコンピュータ化により結婚した子が親の戸籍謄本に記載されていない場合は、改製原戸籍謄本)が必要です。兄弟に相続させる場合は、遺言者の生まれてから現在までのすべての戸籍謄本及び改製原戸籍謄本が必要です。

不動産を兄弟に相続させる旨の遺言を内緒でしたいのですが、兄弟の戸籍謄本が取れません。どうすればよいですか?
遺言をする際に戸籍謄本の提出が困難な場合は、遺言書に、「遺贈する」旨の記載に併せて、「相続開始時に受遺者が相続人であるときは『遺贈する』を『相続させる』に読み替える」旨を記載します。これによって、遺贈を受けた兄弟は、この遺言による登記を申請する場合、遺言書とともに、自己の相続関係を証する戸籍謄本を提出すれば、「相続」を原因とする所有権移転の登記を申請することができます。

遺贈と相続では登記申請の手続は違うのですか?
「遺贈」を原因とする所有権移転登記は、受遺者と遺言執行者(又は相続人全員)が共同して申請し、登記識別情報(権利証)の提供が必要です。これに対して、「相続」を原因とする所有権移転登記は、相続人から単独で申請することができ、登記識別情報(権利証)の提供は不要です。遺贈と相続では登記申請は違うのですか。

長男の子(孫)に不動産を相続させたいのですが、どのような遺言をすればよいですか?
遺言作成時に長男が生存している場合は孫(男の子)は相続人ではありません。しかし、遺言者の相続開始時に長男が死亡している場合は孫は相続人となります。そこで、このような場合は、遺言書に、「孫に遺贈する」旨の記載に併せて、「相続開始時に孫が相続人であるときは『遺贈する』を『相続させる』に読み替える」を旨を記載します。これによって、孫は、この遺言による登記を申請する場合、遺言書とともに、自己の相続関係を証する戸籍謄本等を提出すれば、「相続」を原因とする所有権移転の登記を申請することができます。 遺贈と相続では登記申請手は違うのですか?

長男が死亡した後も農業を手伝ってくれている長男の嫁に田畑を遺贈したいのですが、遺言することができますか?
遺贈により田畑について所有権の移転をする場合は、農地法の許可が必要です。そして、遺贈による所有権移転の登記を申請する場合には、農地法の許可書の提供が必要です。長男の嫁に田畑を遺贈する旨の遺言をしても、農地法の許可が得られないと、所有権移転の効力が生じません。遺言をする前に農業委員会に確認してください。

不動産を遺言する場合、すべての不動産について登記事項証明書(登記簿謄本)が必要ですか?
不動産が多数あっても、すべての不動産を一人に相続させる遺言を作成する場合は、遺言書に「すべての不動産を○○に相続させる」と記載しますので、登記事項証明書(登記簿謄本)や要約書(所在、地番、地目、地積、所有者を記載したもの)は不要です。しかし、個々の不動産を特定して遺言する場合は、遺言書に、「A不動産を甲に相続させる。B不動産を乙に相続させる。」というように記載しますので、遺言書に記載された不動産の表示が登記記録と一致しない場合、この遺言書による登記が認められないおそれがありますので、遺言書に記載する不動産について、登記事項証明書などが必要になります。また、「A不動産を甲に相続させる。その余の不動産をすべて乙に相続させる。」という遺言をする場合は、遺言書に不動産の表示を記載するA不動産についてのみ、登記事項証明書が必要になります。

近くにあった登記所が廃止されたため、登記事項証明書(登記簿謄本)がすぐに取れません。いい方法はありませんか?
公証人役場にご相談ください。インターネットを利用して、公証人役場で、要約書(所在、地番、地目、地積、所有者を記載したもの)や登記所備え付け地図を取得することができます。

不動産が多数あるため、字や地目・坪数は分かりますが、地番や平方メートルでの地積などは分かりません。公証人に遺言する不動産を口頭で説明するにはどうしたらいいですか?
法務局備え付けの地図や住宅地図などを利用して、地番を特定してください。必要に応じて、公証人に説明する際に利用した地図や住宅地図を遺言書に添付する方法も考えられます。
 

預貯金等の金融資産について遺言をする場合は、預金通帳などを提出しなければなりませんか?
預貯金等の金融資産が多数あっても、すべてを一人に相続させる遺言を作成する場合は、遺言書に「預貯金等の金融資産すべてを○○に相続させる」と記載しますので、預貯金の通帳などの提出は不要です。しかし、個々の預貯金を特定して遺言する場合は、遺言書に、「A貯金を甲に相続させる。B預金を乙に相続させる。」というように記載しますので、遺言書に記載された預貯金債権などの表示に間違いがあると、この遺言書に基づいて預貯金の払戻しなどが認められないおそれがありますので、遺言書に記載する預貯金などについて、通帳表紙など(銀行名、支店名、口座番号が記載されている部分)の写しが必要になります。また、「A貯金を甲に相続させる。その余の金融資産すべて乙に相続させる。」という遺言をする場合は、遺言書に預貯金債権の表示を記載するA貯金通帳についてのみ、その写しが必要になります。

遺言公正証書があれば、相続開始後直ちに、相続人全員の同意書や印鑑証明書がなくても、遺言者名義の銀行預金の払戻しができますか?
遺言で、遺言執行者を指定すると、遺言執行者は法律で相続人の代理人とみなされていますので、遺言執行者だけが銀行預金の払戻し手続を受けることができます。この場合、相続人全員の同意を得たり、印鑑を押印してもらったりする必要はありません。

遺言の取消しはできますか?
遺言の「取り消し」は、法律上は「撤回」といいます。遺言者は、いつでも、作成した遺言を将来に向かって無かったことにすることができます。遺言の取消しは、遺言書を作成したときと同様に、証人2名の立会いの下で、公証人に対して遺言を取り消す旨を述べ、公正証書に署名・押印します。遺言の取消しには、取り消す遺言書の謄本と印鑑証明書(3か月以内)が必要です。

遺言の書換えや取消しをする場合、前の遺言で遺産をもらう人の同意が必要ですか?
不要です。遺言は、遺言者が、死亡後に、自己の財産を譲るものですから、遺言時と状況が変わったり、気持ちが変わったりした場合は、いつでも、どこでも、何回でも、書換えや取消しをすることができます。

遺言をした土地を売却することになりました。遺言を書き換える必要がありますか?
遺言者は、遺言をいつでも自由に取消し(撤回)ができます(民法1022条)。遺言者が、遺言対象不動産の売却など遺言と矛盾する内容の生前処分を行った場合も、矛盾する部分について、遺言は取り消されたものとみなされます(民法1023条2項)。したがって、この売却した土地については、その土地のみの遺言部分が取り消されたことになるだけで、その他の遺言部分は有効ですから、遺言を書き換える必要はありません。ただし、土地を売却したことによって、その土地に代わって現金(又は預貯金等)が増加することになりますから、これに伴って遺言内容を見直す必要があれば、遺言書を書き換えることになります。

遺言で債務の承継者を指定できますか?
遺言の対象となるのは、不動産、自動車、預貯金等の積極財産です。債務(借金や住宅ローン等)のような消極財産については、遺言の対象とならず、法定相続されると解されています。したがって、遺言で債務を負担する者を定めても、そのことを債権者(銀行等)に主張することはできず、債務は、法定相続の割合に応じて相続人が負担することになります。ただし、遺言で債務を負担・承継する者を定めた場合、債権者がそれを承諾するならば、遺言のとおりとなります。
 

生命保険金は、遺産に含まれるのでしょうか?
夫が締結した生命保険契約において、夫(被保険者)が死亡した場合の受取人を妻に指定された場合は、生命保険金を受け取る権利は、妻が被保険者(被相続人・夫)から相続によって引き継ぐ財産(相続財産)ではなく、受取人として指定された妻が、保険契約の効果として、保険会社から直接支払われるものです。これに対して、被保険者(被相続人・夫)自身が受取人に指定されている場合は、生命保険金を受け取る権利は、相続財産に含まれます。

遺言で生命保険金の受取人の変更ができますか?
平成22年4月1日に施行された保険法は、同日以降に契約した生命保険について、遺言で保険金受取人の変更ができる旨を規定しています。しかし、同法施行前は、明文の規定がなかったため、遺言で保険金受取人の変更ができるかどうかについて、保険実務や裁判所の判断が分かれています。具体的には、保険契約の時期や内容により異なりますので、詳しいことは保険会社で確認してください。

遺言で、仏壇やお墓などを承継する者を指定することができますか?
仏壇やお墓などを祭祀財産といいます。祭祀財産は相続財産には含まれません。祭祀財産は、慣習に従って祖先の祭祀を主宰する者が承継し、慣習が明らかでないときは裁判所が定めた者に承継されます。遺言で祭祀の承継者を指定すれば、遺言で指定された者が祭祀財産を承継します。相続人以外の者でも祭祀の承継者に指定することができます。

遺言書に、遺言した趣旨やお願いなどを記載することができますか?
遺言書には、遺言事項のほか、「○○が老後の面倒をみてくれるのでこのような遺言をしました」、「私の死亡後は認知症の妻の面倒をみてください」、「子どもたちは仲良く暮らしてください」などと、遺言した趣旨やお願いなどを記載することもできます。これらは、「付言事項」といわれるもので、遺言として法的な効力が生じるものではありません。